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#154

親世代が狙われる点検商法|屋根・エコキュート「無料点検」の手口と断り方

「近くで工事をしている者ですが、お宅の屋根が浮いているのが見えて…」。ある日突然、こんな訪問を受けたことはありませんか。それは「点検商法」と呼ばれる手口かもしれません。いちばんの防御は、突然来た業者に点検させないことです。この記事では、実際に使われる勧誘トークと具体的な断り方、契約してしまった後の取り消し方まで、住宅のプロの視点で順番に解説します。

この記事でわかること

  • 点検商法の仕組みと、狙われやすい人の特徴
  • 実際に使われる勧誘トーク5パターン
  • 急増中のエコキュート・給湯器点検の手口
  • シーン別の具体的な断り方
  • 契約後8日以内のクーリング・オフと、親世代を守る方法

手口を先に知っておくだけで、被害のほとんどは防げます。読み終わる頃には、玄関先で迷わず対応できるようになっているはずです。

点検商法とは?「無料点検」を入口に不安をあおる手口

玄関先で訪問業者から屋根の点検を勧められて戸惑う家主のイラスト

点検商法とは、頼んでもいない点検を口実に家へ上がり込み、不安をあおって契約を迫る手口です。屋根、床下、給湯器、分電盤、水道の水質など、対象はさまざまです。

国民生活センターによると、点検商法の相談は全国で毎年1万件前後寄せられています(参照:国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」)。なかでも屋根工事の点検商法は2022年度に2,885件と、2018年度の約3倍に増えました。

契約した人の8割超は60歳以上です(参照:国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」)。日中に在宅していることが多い方、家の傷みが気になり始めた築年数のお宅が狙われやすいのです。

なぜ引っかかってしまうのか

理由はシンプルで、屋根や床下は自分の目で確かめられないからです。業者に「傷んでいますよ」と写真を見せられても、それが本当に自宅のものか、本当に危険な状態なのか、その場では判断できません。

見えない場所の「見せられた不安」は、想像以上に強力です。だからこそ、点検させない・その場で契約しないという入口の防御が効きます。

実際に使われる勧誘トーク5パターン

点検商法のトークには、決まった型があります。国民生活センターに寄せられた相談から、代表的なものを整理しました。

よくあるトーク ねらい
「近くで工事をしていて、お宅の屋根が見えた」 偶然を装って警戒心を解く
「無料で点検してあげます」 屋根や床下に入る口実を作る
「このままだと雨漏りする」「瓦が飛んでご近所に迷惑がかかる」 不安と罪悪感をあおる
「火災保険を使えば実質無料で直せる」 支払いへの抵抗感を消す
「今日契約してくれるなら値引きする」 考える時間と相談の機会を奪う

共通するのは、「向こうから来て、不安を見せて、今日決めさせる」という流れです。ひとつでも当てはまったら、点検商法を疑ってください。「火災保険でタダで直せる」型の危うさは、台風被害と火災保険の記事でも詳しく解説しています。

屋根だけではありません。給湯器や分電盤の「無料点検」、水道の「水質検査」と称して浄水器を勧める手口も報告されています。水道水の安全性が気になる方は、水道水をおいしくする方法の記事で正しい知識を確認しておくと安心です。

筆者のひとこと

「業者さんに屋根が傷んでいると言われて、心配で眠れない」と連絡をいただき、確認に伺うことがあります。実際に登って見ると、何の問題もないことがほとんどです。それでも皆さん口をそろえて「写真を見せられたら本当だと思った」とおっしゃいます。見えない場所の不安は、それほど強いのです。

エコキュート・給湯器の「無料点検」も急増中

屋根と並んで今増えているのが、エコキュートなど給湯器の点検商法です。国民生活センターによると、給湯器の点検商法の相談は2023年度に前年同期の約3倍へ急増しました。契約した人の7割以上が70歳以上です(参照:国民生活センター「給湯器の点検にご注意ください」)。

やっかいなのは、身分を偽って信用させる点です。

  • 「自治体から委託されて点検に来ました」
  • 「契約中のガス会社から依頼されました」
  • 「メーカーの定期点検です」と電話をかけてくる

点検の後は「このままだと故障する」と不安をあおり、高額な交換契約を迫る流れです。対処はひとつだけ。名乗られた自治体やガス会社の番号を自分で調べて、かけ直して確認することです。本当の依頼なら、それで話が通ります。

なお、エコキュートにも寿命はあります。焦って訪問業者と契約しなくて済むよう、エコキュートの寿命と交換時期の記事で正しい目安を知っておいてください。

シーン別・点検商法の断り方

インターホン越しの対応、玄関先での断り方、点検後の対応の3つの場面を示すイラスト

断るのが早いほど、簡単に終わります。場面ごとに、そのまま使える言い方を紹介します。

インターホン越し:ドアを開けない

最善の対応は、ここで終わらせることです。「点検の予定はありません。必要ありません」とだけ伝えて、通話を切ってください。顔を合わせなければ、トークは始まりません。

「話だけでも」と食い下がられても、応じる義務はまったくありません。相手はプロの話し手です。土俵に上がらないのが正解です。

玄関先に出てしまったら:あいまいな返事をしない

「考えておきます」「今日は忙しいので」といった返事は、「また来ます」につながります。断るときは、はっきりと。

  • 契約しません。点検も必要ありません
  • 「家のことは、決まった業者に頼んでいます」
  • 「家族と決めているので、その場では判断しません」

一度断った相手に勧誘を続けることは、特定商取引法で禁止されています。それでも居座られたり、身の危険を感じたりしたら、警察相談専用電話(#9110)や110番をためらわないでください。

点検させてしまった後でも:その場で契約しない

「傷んでいる」と言われても、あわてる必要はありません。本当に工事が必要なら、別の業者に見てもらっても結論は同じはずです。「他社にも見積もりを取ってから決めます」と伝えて、いったん帰ってもらいましょう。

この一言を嫌がる業者は、比べられると困る業者です。誠実な会社なら、相見積もりを断る理由がありません。

筆者のひとこと

以前、ご相談の席で、他社で契約された浄水器一式の請求書を拝見したことがあります。金額は税込199万円でした。妥当かどうかは別として、契約前に他社の見積もりと並べていれば、少なくとも「この金額で即決していいのか」は冷静に判断できたはずです。高額な住宅設備ほど、比較する時間を必ず確保してください。

「業者にこう言われた」その内容、LINEで確認できます

見せられた写真や見積書を送るだけ。本当に工事が必要な状態か、住宅のプロが個別にお答えします。無理な営業はありません。

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契約してしまっても、8日以内ならクーリング・オフできる

契約書面の受け取りから8日以内に書面で通知するクーリング・オフの流れを示すイラスト

その場の勢いで契約してしまっても、まだ取り消せます。訪問販売で結んだ契約は、法定の契約書面を受け取った日から数えて8日以内なら、無条件で解除できます。これがクーリング・オフです(参照:消費者庁「特定商取引法ガイド・訪問販売」)。

ポイントは3つあります。

  • 理由は不要:「やめたい」だけで解除できます
  • お金はかからない:違約金や損害賠償を払う必要はありません
  • 工事済みでも大丈夫:期間内なら、元に戻す費用も業者負担です

通知は、はがきなどの書面か、メール等の電磁的記録で行います。はがきは両面のコピーを取り、「特定記録郵便」など記録が残る方法で送ってください。8日以内に発信すれば、相手に届くのが後でも有効です。

8日を過ぎてしまった場合も、あきらめるのはまだ早いです。書面に不備があればクーリング・オフ期間が始まっていないと扱われることもあります。消費者ホットライン(局番なし188)に電話すれば、最寄りの消費生活センターにつながります。

信頼できる業者と点検商法の違い

まっとうな点検と点検商法は、始まり方が逆です。本来の点検は、住まい手が頼んで初めて行われます。向こうから突然やって来る時点で、順序がおかしいのです。

見分けの目安を挙げます。

  • 会社名・所在地・固定電話が確認でき、地元での施工実績がある
  • 点検結果を写真と一緒に説明し、急がせない
  • 見積書に工事内容と数量の明細がある
  • 相見積もりを嫌がらない

逆に言えば、家の傷みを放置してよいわけではありません。屋根や外壁は、自分で選んだ信頼できる業者に、定期的に見てもらうのが確実です。かかりつけ医ならぬ「かかりつけ工務店」を持っておくと、突然の訪問業者に揺さぶられなくなります。点検の適切な時期や費用の目安は、家の定期点検の記事にまとめています。

筆者のひとこと

私たちは点検を「頼まれてから」伺います。地元で商売を続ける会社にとって、評判は何よりの財産だからです。強引な勧誘を1件やれば、ご近所の信頼を全部失います。突然来る業者とかかりつけの業者、どちらに屋根を任せるべきかは、この一点だけでも判断できると思います。

離れて暮らす親御さんこそ、手口の共有を

点検商法の被害の中心は、60代以上の親世代です。屋根では契約者の8割超が60歳以上、給湯器では7割以上が70歳以上。日中にひとりで応対するお父さん・お母さんが、まさに狙われています。

守り方は難しくありません。ご家族でこう決めておくだけです。

  • 訪問や電話の点検は、その場で決めない。必ず家族に電話してから
  • 家のことを頼む「かかりつけの業者」を1社決めておく
  • 帰省や電話のついでに、この記事の手口の型を話しておく

手口の型を知っている人は、まず引っかかりません。この記事をそのままご両親のLINEに送っていただくのも歓迎です。「親の家に業者が来ているらしい」という、ご家族からの代理のご相談もお受けしています。

よくある質問

Q1. 無料なら、点検だけしてもらっても損はないのでは?

点検させないことを勧めます。屋根や床下は自分で確認できないため、「傷んでいる」と言われたら反論できません。無料の点検は、契約を迫るための入口として使われます。

Q2. 断ったのに何度も来ます。どうすればいいですか?

契約しないと伝えた相手への再勧誘は、特定商取引法で禁止されています。社名と担当者名を控えて、消費者ホットライン(188)へ相談してください。居座りや脅しを感じたら、警察相談専用電話(#9110)や110番へ。

Q3. クーリング・オフは、具体的にどう書けばいいですか?

はがきに「契約解除通知」と題し、契約日・商品名(工事名)・金額・会社名と「契約を解除します」の一文、日付と自分の氏名住所を書きます。両面をコピーして、特定記録郵便などで送ってください。書き方に迷ったら188で教えてもらえます。

Q4. もう工事が終わってしまいました。手遅れですか?

契約書面の受領から8日以内なら、工事が済んでいても解除でき、お金を払う必要はありません。8日を過ぎていても、書面の不備などで解除できる場合があります。あきらめる前に消費生活センターへ相談してください。

Q5. 本当に屋根の状態が心配なときは、誰に頼めばいいですか?

自分で選んだ地元の施工店に依頼してください。訪ねてきた業者ではなく、こちらから連絡した業者に見てもらうことが大切です。複数社の見積もりを比べれば、工事の要不要も金額の妥当性も見えてきます。

まとめ:点検は「頼んだ人」にだけさせる

この記事の要点

  • 点検商法は「無料点検」を入口に不安をあおる手口。相談は毎年1万件前後
  • 「近くで工事」「今日なら値引き」など決まったトークの型がある
  • エコキュート・給湯器の点検商法も急増中。「自治体から」は、かけ直して確認
  • インターホン越しに断るのが最善。出てしまっても、その場で契約しない
  • 契約後も8日以内ならクーリング・オフ。手口の型は親世代と共有を

点検商法への対策は、突き詰めればひとつです。家を見せる相手は、自分で選ぶ。向こうからやって来た業者に、屋根も床下も任せる必要はありません。

この知識は、ご自身のためだけでなく、離れて暮らすご両親にこそ届けてください。「さっき業者にこう言われたけど、本当かな」。そんなときこそ、契約する前にご相談ください。私たちリンクスホームは愛知県津島市・あま市・愛西市を中心に、頼まれてから伺う点検で地域の住まいを守ってきました。セカンドオピニオンだけのご相談も歓迎です。

訪問業者に言われた内容、契約前にLINEでご確認を

写真や見積書を送るだけ。工事が本当に必要か、金額は妥当か、住宅のプロが個別にお答えします。ご家族に代わってのご相談も歓迎。しつこい営業はありません。

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