落雷で家電が壊れた|火災保険で直せる範囲と、申請の正しい順番
雷が鳴った翌日にテレビが映らない、インターホンが反応しない。その故障は、火災保険で直せる可能性があります。落雷は、ほとんどの火災保険で「基本の補償」に入っているからです。ところが、直せたはずの家電を自費で買い替えている方が本当に多い。この記事では、対象になる物とならない物、そして捨てる前にやるべきことを、順番どおりに整理します。
この記事でわかること
- 落雷で壊れた家電が火災保険の対象になる条件
- 雷が直撃していなくても壊れる「誘導雷」の仕組み
- 壊れた家電を捨てる前にやるべき4つのこと
- 「保険で無料になります」と勧誘する業者への向き合い方
2026年7月27日、あま市のすぐ東にある名古屋で雷が観測されました(気象庁 過去の気象データ)。その翌日から、当社のLINEにも「雷のあと、家の電気系統がおかしい」というご相談がいくつも届いています。同じ状況の方に向けて、まず知っておいてほしいことをまとめます。
落雷の被害は、火災保険の「基本の補償」に入っている

落雷による損害は、住宅火災保険でも住宅総合保険でも補償の対象です。台風の被害を補償する「風災」や、水害を補償する「水災」は商品によって付いていないことがありますが、火災・落雷・破裂爆発の3つは、どちらのタイプにも入っています(参照:日本損害保険協会「火災保険」)。
つまり、火災保険に入っているご家庭なら、落雷の被害は相談する価値があります。「うちは水災を付けていないから」と諦める必要はありません。
分かれ目は「家財を契約しているか」
ここが最大の落とし穴です。火災保険は、建物と家財を分けて契約する仕組みになっています。日本損害保険協会も「建物は契約したが、家財は契約しなかったということがないよう、注意してください」と呼びかけています。
テレビや冷蔵庫、パソコンは「家財」です。建物だけの契約だと、家電が壊れても保険金は出ません。逆に、屋根やアンテナ、インターホンは「建物」に含まれるのが一般的なので、家財を契約していなくても対象になり得ます。まずは保険証券を開いて、家財の欄に金額が入っているかを見てください。
「時価」契約だと古い家電は満額出ないことがある
保険金額の決め方には、買い直す値段で計算する再調達価額と、使った年数分を差し引く時価の2種類があります。時価で契約していると、10年使ったテレビは10年分値下がりした金額での評価になります。
同じ被害でも、受け取れる額を左右するのがこの違いです。証券の「保険金額の評価方法」も、あわせて見ておいてください。
直撃していないのに壊れる。それが「誘導雷」

家に雷が落ちていなくても、家電はまとめて壊れます。近くの電柱や木に落ちた雷が、電線・アンテナ線・電話線を伝って強い電圧となって流れ込むためです。これを誘導雷と呼びます。
「屋根に落ちた跡がないから、雷とは関係ないだろう」と自己判断してしまう方が多いのですが、被害の大半は直撃ではなく誘導雷によるものです。壊れ方にも特徴があります。
- 複数の家電が、同じ日に同時におかしくなった
- 電源は入るが、通信やリモコンだけ効かない
- インターホン、ルーター、テレビなど配線でつながる機器に集中している
- 給湯器やエアコンが、エラー表示のまま動かない
とくに太陽光発電をお使いのお宅では、パネル本体よりもパワーコンディショナが影響を受けやすい傾向があります。発電量が急に落ちた、モニターが表示されないといった変化にも目を向けてください。
対象になりやすい物・なりにくい物
目安は「落雷が原因で、物が壊れたかどうか」です。物そのものの故障ではない損害は、対象外になることがあります。
| 区分 | 主な例 |
|---|---|
| 建物として 対象になりやすい |
屋根・アンテナ・インターホン・給湯器・エコキュート・太陽光発電の設備・分電盤 |
| 家財として 対象になりやすい |
テレビ・冷蔵庫・パソコン・ルーター・電話機・据え置きゲーム機 |
| 対象になりにくい | 経年劣化による故障・保存していたデータ・停電にともなう間接的な損害 |
エアコンのように、建物付属の設備として扱う契約と、家財として扱う契約の両方があるものもあります。判断に迷う機器こそ、自分で線を引かずに保険会社へ聞くのが確実です。
補償の範囲は契約ごとに違います。最終的な可否は、必ずご自身の証券と保険会社の回答で確認してください。
壊れた家電を捨てる前に。この順番で動く

壊れた現物が、いちばん強い証拠になります。先に処分してしまえば、被害を確かめる手段はもうありません。急いで買い替えたい気持ちを、少しだけ抑えてください。
- ① 捨てない・すぐ修理に出さない:確認が終わるまで手元に残す
- ② 写真を撮る:本体全体、型番のラベル、エラー表示、設置場所の4枚が基本
- ③ 保険会社に連絡する:証券番号と「いつの雷か」を伝える
- ④ 見積もりを取る:修理業者に原因の記載を依頼する
④で大切なのが、見積書や修理報告書に「落雷が原因」と書いてもらうことです。単に「故障」とだけ書かれた書類では、経年劣化との区別がつきません。メーカー修理を頼むときも、その一言を添えるだけで進み方が変わります。
なお、保険金の請求そのものは、契約者ご本人が保険会社に対して行います。業者に代行させる必要はなく、手数料もかかりません。
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期限は3年。ただし「雷の日」を特定できるかがカギ
保険金を請求する権利の時効は、保険法で3年と定められています。去年の夏の雷でも、間に合う可能性は十分あります。
問題は、その日付をどう示すかです。実は、気象庁の「過去の気象データ検索」で、地域ごとの日別の天気と雷の観測を後から調べられます。「あの日、この地域で雷が観測されている」と示せれば、話は具体的になります。

あま市周辺の目安になるのが、いちばん近い観測地点である名古屋の記録です。雷が観測された日数は平年値で年間18.0日。うち7月が4.0日、8月が5.2日と、夏の2か月だけで年間のおよそ半分が集中します(気象庁 1991〜2020年平年値)。あま市・津島市・愛西市は名古屋の西隣です。雷の多い季節は、この地域でも変わりません。
「保険で無料になります」と訪ねてくる業者に注意
災害のあとは、それを口実にした勧誘が増えます。日本損害保険協会によると、保険金が使えると勧誘された住宅修理の相談は、2010年度からの累計で11,261件にのぼります(2020年8月時点/参照:日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブル」)。
国民生活センターにも、受け取る保険金の3〜4割を手数料として求められた、解約しようとしたら高額な違約金を請求された、といった相談が寄せられています(参照:国民生活センター「保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意!」)。次の言葉が出たら、その場で契約しないでください。
- 「必ず保険金が下ります」と断言する
- 保険会社に連絡する前に、契約書へのサインを求める
- 手数料や解約時の違約金の説明があいまい
- 被害を大きく見せるような書き方を提案してくる
事実と違う内容で請求すれば、契約者ご本人が責任を問われるおそれもあります。「無料で直る」という言葉ほど、慎重に受け止めてください。
私たちがやること、やらないこと
立場をはっきりさせておきます。保険金の請求はお客様ご自身が保険会社へ行うもので、当社が代行することはありません。成功報酬や手数料をいただくこともありません。
- やること:被害箇所の調査、写真での記録、修理見積もりの作成、認定後の工事
- やらないこと:保険金の請求代行、保険金からの手数料の受け取り、被害の誇張
屋根やアンテナ、太陽光の設備は、地上から見ても状態がわかりません。そこを調べて資料にするのが施工店の役割だと考えています。ふだんの住まいの状態を把握しておく意味では、家の定期点検を続けておくことも、いざというときの備えになります。
よくある質問
Q1. 家に雷が落ちていなくても対象になりますか?
なり得ます。近くに落ちた雷が電線などを伝って機器を壊す誘導雷も、落雷による損害として扱われるのが一般的です。直撃の跡がないことを理由に諦めず、保険会社に状況を伝えてください。
Q2. もう新しいテレビを買ってしまいました。
壊れた本体が残っていれば、まだ確認の余地があります。処分済みの場合も、撮影した写真や購入・処分の記録が手がかりになります。まずは保険会社に事情を伝えて相談してください。
Q3. 保険を使うと、翌年の保険料は上がりますか?
火災保険には、自動車保険のような等級の仕組みがありません。自動車保険では保険金を受け取ると等級が下がり保険料が割増されますが、火災保険にその制度はなく、請求したことを理由にご自身の保険料だけが上がることはありません。ただし保険料そのものの改定は、契約者全体を対象に保険会社が行うことがあります(参照:日本損害保険協会 損害保険Q&A)。
Q4. 停電で冷蔵庫の食品がだめになりました。
冷蔵庫そのものが落雷で壊れた場合と、停電にともなう中身の損害とでは扱いが分かれます。後者は対象外となる契約が多いため、証券の記載と保険会社の回答で確認してください。
Q5. 次の雷に備えて、できることはありますか?
雷が近づいたら、使っていない機器のプラグを抜くのが確実な方法です。雷サージ対応の電源タップも市販されています。太陽光発電やエコキュートなど抜き差しできない設備は、避雷器の設置について施工店に相談してください。
まとめ:捨てる前に、写真と1本の電話を
この記事の要点
- 落雷は火災保険の基本の補償に含まれる
- 家電が対象になるかは「家財を契約しているか」で決まる
- 直撃していなくても誘導雷で壊れる。捨てる前に写真を
- 請求はご本人が保険会社へ。代行業者に手数料は不要
雷のあとの故障は、ご自身の判断で「寿命だった」と片づけてしまいがちです。けれど、複数の機器が同じ日におかしくなったのなら、そこには理由があります。写真を撮り、保険会社に一本電話を入れる。動く順番は、それだけです。
なお、台風による屋根や雨どいの被害は、落雷とは別の「風災補償」で扱われます。そちらは台風で壊れた家と火災保険の記事にまとめてあります。
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