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#160

台風が来ていないのに屋根が飛んだ|強風の被害と火災保険の使い方

台風が来ていなくても、屋根の瓦がはがれるほどの風は吹きます。2026年7月28日、あま市のすぐ東にある名古屋で、瞬間的に秒速27.1メートルの風が観測されました。この日は台風ではありません。夏の雷雨にともなう突風です。火災保険は、台風のときだけの保険ではありません。この記事では、風で壊れた家をどう直すか、その順番を整理します。

この記事でわかること

  • 台風でない風の被害も火災保険の対象になる理由
  • 7月28日にこの地域で吹いた風の強さと、家への影響
  • 保険が下りる場合と下りない場合の分かれ目
  • 風のあと、家のどこを見ればいいか

昨日この地域で吹いた風は、どれくらい強かったのか

2026年7月28日に名古屋で観測された最大瞬間風速27.1メートルなどの実測値をまとめた図解
図解:リンクスホーム株式会社/出典:気象庁 名古屋 2026年7月28日の観測値

7月28日、名古屋の最大瞬間風速は27.1メートル。7月のひと月で最も強い風でした。あわせて41.5ミリの大雨が降り、雷も観測されています(気象庁 過去の気象データ)。

注目したいのは、その内訳です。10分間の平均は13.5メートルでした。つまり一瞬だけ、平均の2倍の風が吹いたことになります。気象庁は、瞬間の風は平均の1.5倍ほどになることが多いものの、大気の状態が不安定なときは3倍以上になることもあると説明しています。雷雨の日の風が怖いのは、この落差のためです。

秒速20メートルを超えると、屋根が動き始める

気象庁は、風の強さごとに起きやすい被害を表にまとめています。家に関わる部分を抜き出すと、次のようになります。

風の強さ 建物に起きること
やや強い風
(平均10〜15)
樋(とい)が揺れ始める
強い風
(平均15〜20)
屋根瓦・屋根葺材がはがれるものがある。雨戸やシャッターが揺れる
非常に強い風
(平均20〜25)
屋根瓦・屋根葺材が飛散するものがある。固定されていないプレハブ小屋が移動、転倒する

単位は秒速メートル(出典:気象庁「風の強さと吹き方」)。昨日の瞬間風速27.1メートルは、この表でいえば屋根の材料がはがれたり飛んだりし始める強さにあたります。

さらに気象庁は、風速は地形や周りの建物に影響されるため、その場所の風は観測所の値と大きく異なることがあると注意書きを添えています。ご自宅の周りでは、名古屋の記録より強く吹いていた可能性もあるということです。

筆者のひとこと

点検でお伺いすると「うちは大丈夫でした」とおっしゃるお宅でも、屋根に上がると棟板金を留めるビスが浮いていることがあります。家の中にいると、風の日は音がするだけで、何が動いたかまではわかりません。壊れたかどうかより「風の強い日があった」という事実のほうを、覚えておいてください。

火災保険は「台風のときだけ」の保険ではない

台風以外にも突風や竜巻や寒冷前線や冬の季節風で強い風が吹くことを示した図解
図解:リンクスホーム株式会社/風災補償は台風に限られません

火災保険の風災補償は、風の原因が台風かどうかを問いません。保険会社の説明でも、補償される例として「台風・竜巻等による強風で屋根瓦が破損した」と、台風以外の風が並べて挙げられています。

実際、強い風が吹くのは台風のときだけではありません。

  • 夏の雷雨にともなう突風(7月28日はこれにあたります)
  • 春先に寒冷前線が通過するときの一時的な暴風
  • 冬の強い季節風
  • 竜巻やダウンバーストなど、局地的で短時間の激しい風

「台風が来ていないから保険は関係ない」と思い込んで、自費で修理してしまう方が少なくありません。まずはご自宅の保険証券で、風災の補償が付いているかを見てください。

風で壊れやすいのは、この6か所

強風のあとに点検すべき屋根や雨どいやカーポートなど住宅の6か所を示した図解
図解:リンクスホーム株式会社/地上から安全に見える範囲で確認してください

風の翌日に見ておきたいのは、次の場所です。屋根に上がる必要はありません。

  • 屋根:瓦のずれ、屋根の先端部の板金の浮き
  • 雨どい:外れ、ゆがみ、金具の抜け
  • カーポート・テラス:屋根パネルの外れ、割れ
  • テレビアンテナ:傾き(映りの乱れでも気づけます)
  • フェンス・物置:ぐらつき、位置のずれ
  • 外壁・シャッター:飛来物によるへこみ、傷

地面に瓦のかけらや板金の破片が落ちていたら、それも写真に撮っておいてください。どこから落ちたかを、後からたどる手がかりになります。

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下りる場合と下りない場合の分かれ目

風の被害で保険金が下りる場合と下りない場合を分ける三つの条件を示した図解
図解:リンクスホーム株式会社/条件は契約ごとに違います。最終判断は保険会社です

被害があれば必ず出る、というものではありません。分かれ目になるのは、おもに次の3つです。

1. 風が原因か、年月による傷みか

いちばん多い分かれ目です。長年かけて進んだサビや劣化は、風災の対象になりません。「あの風の前と後で状態が変わった」と示せるかどうかが鍵になります。ふだんから家の外まわりを撮っておくと、こういうときに効いてきます。

2. 契約に「一定額の壁」があるか

見落とされがちなのがここです。日本損害保険協会は、風災について「一定額以上に達するものであれば補償の対象としている」と説明する一方、一定額に達しなくても補償する商品もあると併記しています。つまり、扱いは契約ごとに別です。

古いタイプの契約では、損害額が20万円以上になって初めて支払いの対象になる、という条件が置かれていることがあります。この場合、19万円の被害では1円も出ません。ご自身の証券で「風災」の欄がどう書かれているかを確かめてください。

3. 3年を過ぎていないか

保険金を請求する権利の時効は、保険法で3年と定められています。去年の春の風で傷んだ場所も、まだ間に合う可能性があります。気づいた時点で保険会社に連絡してください。

当社へのご相談で多いのは、この4つ

火災保険を使った住まいの修理は、めずらしいことではありません。当社もこれまで数多くお手伝いしてきました。実際に寄せられるご相談は、次の4つに集まります。

よくあるご相談 お伝えしていること
台風でもないのに壊れた。保険は無理だと思った 風災の補償は台風に限りません。まず保険会社へご連絡を
数年前の風の被害に、雨漏りで今ごろ気づいた 請求の時効は3年。過ぎていなければ、まだ道はあります
訪問業者に「保険で無料になる」と言われて不安 その場で契約しないこと。請求はご本人が保険会社へ
修理代が小さいので、申請していいのか迷う 金額で自己判断せず、証券の条件を確認してください

共通しているのは、保険が使えることを知らないまま、自費で直そうとしていたという点です。なお、実際の工事の様子は、お客様の掲載のご了承をいただいたものから施工事例として順次公開していきます。

風の日は、雷もセットでやってくる

7月28日は、風と大雨と雷が同時に来た日でした。家の外側を見たら、中もあわせて確かめてください。

雷の被害は、家に直接落ちていなくても起こります。近くに落ちた雷が電線やアンテナ線を伝って、テレビやインターホン、給湯器のリモコンをまとめて壊すことがあるためです。こちらは風災ではなく落雷の補償で扱われます。同じ日の被害でも、原因ごとに分けて申請するのが基本です。

「保険で無料になります」と訪ねてくる業者に注意

強い風の翌日は、それを口実にした訪問が増えます。日本損害保険協会によると、保険金が使えると勧誘された住宅修理の相談は、2010年度からの累計で11,261件にのぼります(2020年8月時点/参照:日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブル」)。

受け取る保険金の3〜4割を手数料として求められた、解約しようとしたら違約金を請求された、といった相談が国民生活センターにも寄せられています。次の言葉が出たら、その場で契約しないでください。

  • 「必ず保険金が下ります」と断言する
  • 保険会社に連絡する前に、契約書へのサインを求める
  • 屋根に上がったあと「ひどい状態だ」と急がせる
  • 手数料や解約時の違約金の説明があいまい

私たちがやること、やらないこと

保険金の請求はお客様ご自身が保険会社へ行うもので、当社が代行することはありません。成功報酬や手数料をいただくこともありません。

  • やること:屋根や外まわりの調査、写真での記録、修理見積もりの作成、認定後の工事
  • やらないこと:保険金の請求代行、保険金からの手数料の受け取り、被害の誇張

あま市・津島市・愛西市を中心に、地域の住まいに数多く関わってきました。ふだんの状態を知っておくという意味では、家の定期点検を続けておくことが、いざというときの証拠にもなります。

筆者のひとこと

風の翌日に飛び込みで来る業者を、私たちも現場で何度か見かけました。地元で長く商売をしている会社は、その場で契約を迫ることを嫌います。次の工事も、その次も、同じ地域でいただくからです。急がせてくる相手ほど、いったん保留にして構いません。

よくある質問

Q1. 台風でない風でも、本当に保険は使えますか?

風災の補償は、風の原因を台風に限っていないのが一般的です。突風や竜巻、季節風による被害も対象として案内されています。ただし契約ごとに条件が違うため、証券の確認と保険会社への連絡が必要です。

Q2. 屋根に上がって確認したほうがいいですか?

上がらないでください。風のあとの屋根は、留め具がゆるんで足を掛けた場所が動くことがあります。地上から見える範囲とスマホで撮れる範囲で十分です。高い場所は点検のときにプロが確認します。

Q3. 近所は無事なのに、うちだけ壊れました。

風は地形や建物の並びで大きく変わります。気象庁も、その場所の風速は観測所の値と大きく異なることがあると説明しています。1軒だけの被害でも、おかしなことではありません。

Q4. 修理代が10万円ほどでも申請できますか?

契約によります。損害20万円以上で支払いという条件が付いた古い契約では対象外ですが、少額から補償される契約もあります。金額で自己判断せず、証券を見て保険会社に聞くのが確実です。

Q5. 風と雷の被害が両方あります。まとめて申請できますか?

同じ日の被害でも、風災と落雷は別の原因として扱われます。連絡は一度で構いませんが、どれが風でどれが雷かを分けて伝えると、その後の話が早く進みます。

Q6. 保険を使うと、翌年の保険料は上がりませんか?

火災保険には、自動車保険のような等級の仕組みがありません。自動車保険では保険金を受け取ると等級が下がり保険料が割増されますが、火災保険にその制度はなく、請求したことを理由にご自身の保険料だけが上がることはありません。ただし保険料そのものの改定は、契約者全体を対象に保険会社が行うことがあります(参照:日本損害保険協会 損害保険Q&A)。

まとめ:台風でなくても、記録だけは残しておく

この記事の要点

  • 7月28日、名古屋で瞬間27.1メートルの風。台風ではない
  • 風災の補償は台風に限らない。突風や季節風も対象になり得る
  • 分かれ目は「風が原因か」「一定額の壁」「3年以内か」
  • 屋根には上がらない。地上から写真を撮って保険会社へ

風の被害は、雨漏りという形で数か月後に表に出てくることがあります。そのときには、原因が風だったと示すのが難しくなっています。壊れていないと思った日でも、外まわりを1周して写真を撮っておく。それだけで、後の選択肢が変わります。

台風による被害の直し方は台風で壊れた家と火災保険の記事に、雷による家電の被害は落雷と火災保険の記事にまとめてあります。

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